どうも、お久しぶりに「かざみわし」の狩谷亮裕です。
先週が仮面ライダーセイバー始まって以来初の放送休止ということで。いつもならファンとしては活力のない一日を送ることになるのですが、今回はここまで8話。毎話毎話感想を書き続けていることもあり、私にとってはしばしの休息となりました。
放送休止の週にゼロワンの追加キャストが発表されたこともあって、
私自身少し体調がすぐれないこともあって、先週は執筆が控えめになっていました。
それでは、第9話の感想・考察をやっていきたいと思います。
仮面ライダースラッシュド派手に登場
~音の剣士の大活躍に隠された暗喩~
まずは、何と言っても、分が悪い剣士たちの窮地を救った刀鍛冶・大秦寺哲雄の初変身。普段の大秦寺からは想像がつかないド派手で身軽な「音」の剣士。なんといっても、「ブレーメンのロックバンド」を使用した際のキャラ変ははずせません。「ブレーメンのロックバンド」を身にまとった際のギグアームの仕様によるものが大きいと思われますが、あの極度の人見知りの大秦寺が…とア然でした。
しかし現場に駆け付けた大秦寺はどこか活き活きしてましたね。これから他の剣士たちとどのように絡んでくれるのか?大秦寺としても、仮面ライダースラッシュとしても非常に楽しみです。
個人的には、9話全体のストーリー展開のポイントとして、「音」の剣士が登場したのも見どころの一つだったと思っていて。
というのも、仮面ライダーセイバーの物語としては、7話でカリバーがアヴァロンへ向かい、8話では、セイバーにキングオブアーサーの力を手に入れられ、完全に自分のものにされる前に奪い返そうとするも、使いこなされたことによって9話で、アーサーを超える力を持ったワンダーライドブックを作ろうとしている。というようにつながりを持っています。
そこで、ストリウスが剣士たちをおびき出すのに生み出したのが、みにくいアヒルの子ならぬ”見えにくいアヒルの子”。表題の見えにくい が示す通り、このアヒルメギドの何体かは、すがたを透明にして、相手に見えにくい状態で攻撃を仕掛けてきます。
この”見えにくい”という性質。これも同話でカリバーがセイバーに向かって言い放ったセリフ「お前が見ているものが真実とは限らない。私は絶対的な力を手に入れて、真理を手にする!」この言葉を違う角度で表現している。つまり、目に見えるものがすべて絶対だとは限らないということの暗喩であるということです。
そんな、見えにくい敵によって訪れた窮地を救ったのが、「私は、耳がいい」と言った大秦寺と彼が織りなす聴覚に作用する「音」の剣士。
これは物理的な戦況という意味では、目に見えなければ音を聴け。視覚ではなく聴覚という違うみかたを示したのであり、自分が思っている真実だとか、先代の炎の剣士や賢人。そして、飛羽真がカリバーに対して思っている「なぜ裏切った?」という感情など抽象的な事柄に対しても同じように違うみかたをすることで、本当の真実が見えてくるよという二重の意味を持っていたんですね。
現在のカリバーが先代の炎の剣士と仮定すると、彼も15年前、9話の飛羽真と同じように当時の仮面ライダーカリバー=富加宮隼人に詰め寄っていましたが、その真実を知り、15年前から続くこの争いの本当の真実=真理を知るために15年を経た今、これもかつての隼人と同じようにメギド達と手を組み、今度は自分がカリバーとなって飛羽真らに立ちはだかる。
もしかすると、先代の炎の剣士が抱えた「彼が背負ったものの大きさ」の一つは、自分が事態の真実を見落としていたせいで、親友である隼人を結果的に失ってしまったこと なのかもしれません。
何とも皮肉なことに、カリバー本人が自らの口から「真理を手にする」と言っていることから本人もうすうす気づいていることかもしれませんが、飛羽真たちが巻き込まれた15年前の事件で当時の仮面ライダーカリバー=富加宮隼人が裏切った事情は、少なくとも他の剣士達よりは知っている。しかし、自分は真相を知れたつもりでも、また新たな悩みや迷いが生じている…。だから「絶対的な力を手に入れて、真理を手にする!」という強い意志として飛羽真にこう言い放ったが、自身もまだ道半ばである。
「世の中には知らなくていいこともたくさんある」とはよく言いますが、彼らにとって事件の真実=真理を知ることが本当に幸せなことなのでしょうか?
彼らに本当の意味での”救い”は訪れるのでしょうか?
それぞれに与えられた役割
今回9話の考察ポイントは、9割方ソフィアのセリフから。まずは尾上さんと連のことを「彼らは特別な聖剣に選ばれた剣士です。戦いのエキスパート、みんなそれぞれに役割があります。」これ。
以前6話の感想の記事で、私は聖剣ソードライバーに変化している意思を持つ剣が特別なもので、ソードオブロゴスバックルで変身する剣士たちが使う剣というのは、「ソードオブロゴス」と組織名が入っていることからも、それらを模してつくられた『人工物』であり、大いなる本や、それを支える聖剣には該当しない。大いなる本に関わる聖剣をもとに人間が後からつくったものであるといったニュアンスで書きましたが、
失礼しました。
第9話のソフィアの発言を聞くと、むしろ「ソードオブロゴスバックル」で変身する者たちが特別な聖剣に選ばれた精鋭であると。この旨をいった後に大秦寺の方を向いて、彼もそうであるように と言っているので、大秦寺もやはり、特別な剣を持つ選ばれし者なわけです。
となると以前から各考察動画・記事などで、ソードライバーに納刀されている聖剣には古代文字のような特別な文字があり、ソードオブロゴスが世界の均衡とともに守っている、大いなるワンダーライドブックと何か関係性があるのでは?というのは様々言われていますが、この辺りどうなるんでしょう。
次回、10話でソードライバーで変身する3人が、三銃士よろしく聖剣を重ね合わせるエンディングの再現シーンと、そこで交わされるある約束が今後の物語においても回想で使われる大事なシーンになる と公式に書かれていますので、何かしらキーとなる重要な要素がソードライバーに納まっている剣にもあると思うのですが…。
そこについては、現状明確なシーンや匂わせシーンがあるわけではないので、今後に注目しましょう。
結界としてのソフィアの役割
~守護者=守護の対象者?~
もう一つ気になったシーンは、9話終盤のシーン。セイバーとカリバーの剣が交わったことで、飛羽真も失っている記憶の一部を取り戻しましたが、その時の戦いの様子をノーザンベースで見ていたソフィアもこの異変に気づきました。「まさか」と言っていたことから、自分の中で思っているカリバーの正体についての疑念が、疑念から確信へ変わったのだと思われます。ソフィアはこの現象を剣の『共鳴』と呼んでいましたね。
ノーザンベースを芽依に任せ、セイバーらに状況をひっくり返されて撤退するカリバーの前に「あなたは誰ですか?」と正体を迫るソフィア。そんな彼女に投げかけた言葉が、見ていてとても気になりました。
ノーザンベースを離れていいのか?ベースに張っている結界が弱まったら、どうなるか分かっているだろう。
なるほど。というかやはり。というか。
そしてソフィアに切りかかるカリバーというのは、予告の時点で出ていましたので誰かが彼女を守りに割って入るんだろうなというのは容易に予測できましたが、その役目を担ったのは、仮面ライダーバスター。
尾上さんはカリバーとは親友である(と思っている)。この時点で彼ら二人には因縁があるので、尾上さんが必死な顔で止めに入るのは当然なんですが、私が先ほど注目したソフィアの「彼らは特別な聖剣に選ばれた剣士です。戦いのエキスパート、みんなそれぞれに役割があります。」このセリフを聞いた後では、また違う意味でやっぱり尾上さんが来たか となるわけです。
というのは、ソードオブロゴスバックルで変身する剣士および彼らが使う聖剣は、ソフィアの護衛部隊としての役割を持つのでは?ということ。
尾上さんと富加宮隼人は親友ですが、それ以前に、尾上さんもソードオブロゴスバックルで変身する剣士である。
上記のソフィアのセリフの「それぞれの役割」から考えると、ソードライバーの剣は分かりませんが、少なくとも
ソードオブロゴスバックルを使って変身している、特別な聖剣に選ばれた者たちに与えられた役割=特別な聖剣の持つ役割というのは、大いなる本そのものか、その力を身に受けている聖人である、ソフィア自身を守ること。
これなんだろうと思います。
15年前の戦いの経緯や真相はわれわれ視聴者にはまだわかりませんが、おそらくどこかのタイミングで聖なるワンダーライドブック=大いなる本は、万一の事態に備え、人間にその力の一部を託した。
たとえ、カリバーの裏切りがなかったとしても、何千何万年前からメギド達との戦いは続いていると考えるのが妥当ですから、人間を器として、ワンダーワールドを守らせるかわりに、剣士としての力や知恵を授ける。
そして、神の意思を伝える巫女のような存在として選ばれたのがソフィア。あるいは、大いなる本が様々な神話や伝承から『知恵の女神』を具現化したのが今の彼女である。このようなことがあっても、不思議ではありません。
ソフィアの名前の由来が、グノーシス主義における智慧(ちえ)の神ソピアー。これの別名がそのままソフィア。
タッセルも語っているように、本というものを知識の源というふうに考えると、この仮説もまんざら間違ってはいないと思います。
まとめ
次回第10話の予告にて、「勝利の鍵はワンダーコンボ!?カリバーの正体がついに明かされる!」とクレジットされていることから、現在のカリバーの変身者がようやく明かされる待望の回になりそうです。9話放送後の11月8日から各週配信される『剣士列伝』。本編の8.5話ともいえる剣士列伝第1話で、先代の炎の剣士の名前が「上條」であることが明かされましたが、それも9話から10話へつなげるための付箋だったのかなぁ…と深読みしてみたり。
そんな重要な、見どころたっぷりの回を9話に引き続き坂本浩一監督が担当するということで。
坂本監督といえば、大量のナパーム(爆薬)と言われるほど、爆破シーンで視聴者に強烈な印象を残し、名場面を数々演出されてきた方。そんな坂本監督がどのように、ある意味物語の”分岐点”とも言える第10話を色付けるのか?楽しみにしたいと思います。
それでは、今日はこの辺で。
~風の向くまま。気の向くままに~