考察

仮面ライダーゼロワン考察  天津垓はタロットカードの大アルカナの0番目「愚者/The Fool」がモチーフ?

今回、この「趣味」、「考察」のカテゴリーでは、私が毎週観ている仮面ライダー作品の考察をしようと思うのですが、その前に最初ですので簡単にこのカテゴリーの説明をしておきたいと思います。

概要 ~「趣味」「考察」のカテゴリーについて

この「趣味」のカテゴリーでは、このあとやる仮面ライダー作品をみて思ったことだけではなく、10年以上付き合いのある「ポケットモンスター」(ポケモン)作品や、各種カードゲームの下に小さく書かれていることの多い「フレーバーテキスト」=そのカードゲームの世界観についての考察など。以前は『仮面ライダー』や『ポケモン』など種類ごとに細かく分けていましたが、新しくなったこのブログからは、全部含めて「趣味」とカテゴリーを統一し、その時々の記事のタイトルで”仮面ライダー考察”や”ポケモンの〇〇のことについて”などという風に分けていきたいと思っています。よろしくお願いします。

仮面ライダーゼロワン考察 ~天津垓はタロットカードの大アルカナの0番目「愚者/The Fool」がモチーフ?

というわけで、改めまして。
どうも、「かざみわし」狩谷亮裕です。
今回は上の見出しの通り先日放送されました、仮面ライダーゼロワン第38話から、物語そのものではないと思いますが、天津垓のキャラクターモチーフについて語らせてください。
まず最初に今回の考察に至る基になった参考となる動画がありますのでそちらをリンクさせておきます。リンクはコチラ https://www.youtube.com/watch?v=MSossFWrjgA

私は、CYGamesさんのShadow verseも3年ほど前からやりだしたんですが、まさかこんなところで好きなもの同士がつながるなんて、ちょっとびっくりです。私の主幹はさておき、

リンク先の動画では最新弾「Fortune’s Hand / 運命の神々」で新たに登場したタロットカードをもとにした『アルカナゴッド』たちを順に紹介しながら、考察も交え進んでいくのですが、今回の考察のカギとなるのは「ウィッチ」クラスの《愚者》・リンクル(以下、基本的にリンクルと表記)です。動画でいうと、23:10ごろ~30:50ごろまでです。

 

正直にいうと、最初は天津垓・仮面ライダーサウザーがタロットの大アルカナの0番目? なんて思いもしませんでした。しかし、この冒頭のリンクルとそのもととなった『愚者』のタロットを2枚並べて紹介するシーンでいきなり ん?と思わされました。動画中の解説文を引用しますと、

愚者のタロットの英語名はThe Fool。
白い薔薇を持ち、犬を連れた旅人とされるぜ。以下略)

白いバラというのは、まぁ垓時代が全身白。日よけ用の手袋や靴まで白 というまでもなく真っ白統一されていますので、簡単に想像がつくんですが、実際に録画などある方は、見返してみてください。38話は飛電インテリジェンス副社長福添により、主人公、飛電或人が呼び出され、その説得の甲斐もあり、垓がこれまでの悪行を反省し、自身が本当は飛電インテリジェンスという会社やAI自体を愛しており、これまでの行動はそういった感情や過去に父天津一京(あまづ・いっけい)に強く起因され、植え付けられた反動形成であると垓本人が自覚し、仮面ライダーアークゼロ打倒のため或人と共闘する ところまででした。

ひと言でいえば垓がこれまでの行動の裏にある本当の気持ちに気づく。垓自信が自分を見つめ直す話 です。

しかし、自分を見つめ直し言わば『改心』するキッカケがなぜ、人工知能搭載犬型ロボ「さうざー」演:aibo だったのか?
人工知能搭載人型ロボ、ヒューマギアと人間を中心に描いてきた仮面ライダーゼロワンの物語において、この物語の世界では「ヒューマギアよりもかなり前に作られた」と同話で垓自信が口にしているほど旧型であるのになぜ、このタイミングで唐突に我々もよく知る”旧式の”犬型ロボがでてきたのか?

そもそも垓の過去を紐解き、他メンバーとの改心のキッカケを作るエピソードというだけなら、犬型にこだわらず、猫型でもなんでもよかったのではないのか?そう思いませんか。
いいえ違いました。そうではなく、犬型でなければならなかった。ロケで用意できる実際の人工知能搭載ロボが犬型のaiboしかなかったから とかではなく、犬型でなければならなかった。
なぜならば、天津垓という人物とタロットの『愚者』には密接な関係があるのですから。

『愚者』のタロットが持つ意味

動画と合わせてひとつずつみていきましょう。
まず『愚者』のカードに描かれている人物が持っている白いバラ。これは、純粋さ が表されており、また、『愚者』のタロットの正位置には自由純粋可能性天才冒険という意味があり、そこから総じて非凡さ可能性を秘めている。とあり、
私たちが愚者という漢字のイメージから抱く負のイメージではなく、これからいくらでも成長できる可能性を秘めた存在という捉え方もできます。  動画23:30ごろ~
この辺りは38話の垓の幼少時代の回想シーンを見てみてもよく分かります。実際に仮面ライダー公式ポータルサイト。仮面ライダーWEBのゼロワン39話紹介ページの38話プロダクションノートの中に、

厳しいことを言われてばかりでも、お父さんのことが大好き。健気に期待に応えようとする姿や、AI犬・さうざーと楽しそうに接する姿に…中略
ピュアで優しい垓を演じてくださり、ありがとうございました!

とあります。  https://www.kamen-rider-official.com/summaries/46
公式サイトに思いっきりピュアで と表現されているので、垓の中に純粋さの心があるのは確かです。

同じように「天才」「非凡さ」というのは、第18話でイズを通して確認できた経歴や、23話での通称”お見合いシーン”中で当時の部下である刃唯阿の口から語られた経歴を見ればまさに天才的であり、非凡な経歴です。

そして、彼の口グセと言えば「1000%」に代表されるように、物事の進捗率や勝算などを○○%で表すというのも、『愚者』のタロットが持つ可能性 の部分を暗示していたのかもしれません。

天津垓の夢 ~人間の秘めたる大きな可能性~

私が天津垓という人間を分析するにあたって聞き逃せないなと思っているのは、18話で或人に語った「人工知能は共存するものではなく、人類の進化(≒成長・可能性)に利用すべきだった」という垓の理念を踏まえて、翌19話。お仕事勝負2回戦。不動産対決で新屋敷に語った、「私はこの頭脳と身一つで巨万の利益を生み出し、ZAIAジャパンをここまで成長させてきました。人間にはそれだけの可能性があります。たった一度でもヒューマギアに敗北すれば、人類はあっという間に衰退する」という言葉。先ほど、「私たちが愚者という漢字のイメージから抱く負のイメージではなく、これからいくらでも成長できる可能性を秘めた存在という捉え方もできます」と書きましたが、このセリフの中にも成長可能性という言葉が隠れもせずにそのまま表れています。

垓の価値観が生み出した『愚者』の負の側面
~感染する悪意~

最後に検証として、リンクルのチョイス能力で得られるカード「剥落の暴圧」。このカードは『愚者』のタロットの逆位置に相当するカードですが、このカードのフレーバーテキストを参照してリンクルの文章を完成させると、
一頁目をめくろう。ボクは《愚者》、司るは《全能》以下略。となり、リンクル単体では読めない空白のところに『愚者』の逆位置にあたるカードのキーワードを入れて読むと、全能
という言葉が浮かび上がってきます。

全能というと、前述の垓の父とのやり取りから成果を出すこと=自身の存在意義という価値観が出来上がってしまっており、よく、人もヒューマギアも自分の道具である という趣旨の発言をしていましたが、それは他人だけでなく自分にも であり、自分を大事にできないことの悔しさ苛立たしさ。またその裏返しであるということが考えられるほか、
17話で仮面ライダー同士の戦いに勝利した後、清々しいまでの優越感を滲ませながら、変身解除した或人を前に言い放った「ついに飛電是之介が遺したゼロワンを超えた…!」という言葉。自身の憧れでもあった飛電是之介が遺した仮面ライダーゼロワンに、自身の知識で勝利できた、間接的にではあるが、憧れの人を超えることができたという優越感、全能感
そしてその直後に或人に対してこんなことも言っていました。

「しかし今私は満足している。こうしてゼロワンを超えた今、私の方が正しかったことが証明されたからね」。このセリフは今思えば、自分以外のものは信じるに値しない。信じるのは私の頭脳と身一つ というこの考え方やこれまでしてきた辛い経験、歩んできた人生は間違いではなかったのだ。と自分自身に言い聞かせることによって、証明というか、答え合わせをしていたの かもしれません。

まとめ:AIは”愛”だ。
しかし、”あい”はあくい”にもなり得る

この言葉はダジャレ好きの或人やその影響を受けたイズが作中でも何度か口にしているだけでなく、私たちの住む世界にもこれをキャッチにしている企業が存在します。
私自身、なんだシャレか。程度にしか最初は思わなかったし、或人からこのギャグを聞いた際も、ありふれたギャグを と思って笑えませんでしたが。ゼロワンを観ていくうちに、作中で描かれる人間とヒューマギアとの関わり。またヒューマギアの”シンギュラリティ”への到達の過程などを見ていると、あながち間違ってはいないのかもなと或人社長らによって、考え方を改めさせられました。

しかし、一歩踏み込んで考察すると、あいはあくい にもなり得ると考えています。というのも、
38話で垓の過去が謎解かれるまでの間も、私は彼の考え方や行動の根本にあるものを探ろうとしていました。38話も踏まえて考えると、

17話の「ついに飛電是之介が遺したゼロワンを超えた…!」から「しかし今私は満足している。こうしてゼロワンを超えた今、私の方が正しかったことが証明されたからね」までの下り。
そこで語られた飛電是之介が垓の憧れの人物である。「憧れ」というワード。そして18話の「人工知能は共存するものではなく、人類の進化に利用すべきだった」という主となる考え方。そしてそれを提言したが、是之介には聞き入れてもらえなかったという悔しさや「嫉妬」

そこからそのうっぷん晴らしに当時打ち上げ予定だった衛星に人間の悪意をラーニングさせて故障を起こし、(デイブレイク)密かに是之介が(おそらく垓の心情を察して)開発していたゼロワンシステムをサウザーで超えることによって完結させるつもりだったが、その一連の計画の中で飛電インテリジェンスの次期社長が是之介の遺言により、彼の孫である或人に指名され、何の技術も自分と是之介との間柄も知らない若い無能な孫に失望。18話の若さとは罪だ の発言から、或人が自分と比べ若いということも追い打ちをかけ、これまで是之介に対して持っていた「憧れ」や悔しさ、「嫉妬」の感情。そして38話で明らかとなった飛電インテリジェンスへの愛が強いがゆえに、自分ならこの会社をもっと良くできたのに!という思いから、これらの感情がすべて孫である或人にそのまま転移。
いつしかそれが自分の愛しているはずの飛電インテリジェンスという会社そのものにも及んだ…というまさに、負のスパイラル。

このように何かが好きという気持ちや憧れ。〇〇のようになりたいといった本来は+のほうに働く気持ちが、認められなかったなどちょっとした気持ちの行き違い・取り間違いで、
少しの曲がった感情の気持ちで(あくいの「く」)悪意へと変貌を遂げてしまうこともある。
誰にでもあり得ることなので、ちょっと怖いというか、気を付けたいですね。

余談: 憧れや羨望の気持ちが持っている危うさ ~私自身の体験談も交えて~

私も経験があるのでなんとなく分かるのですが、例えば、この人の立ち振る舞いがサバサバしているから、自分もそうなりたい!だとか、この人のように(人が困っているところなど)いろんなところに気づいて動けるようになりたい! のような〇〇のようになりたい!という感情は、特に子供のころであれば誰しも一度は感じたことがあると思います。

ですが、例えば、で挙げた私の体験談のようにその人の(自分が持っていない能力などに対する)羨望や憧れからそこへ入ると、その人との関係が何らかの形でこじれたりしたときなどに、一気に『負の一面』を持ってあふれ出します。私の場合のこの人というのは、年上の女性でした。

垓の場合も、自分の考え方や価値観の形成に影響を与えているのが父親である一京や、先代社長であった飛電是之介と自分より年上の人ばかりですから、本音を言うとその人たちに甘えたかったというか、自分の弱いところを隠さず見せたかったのかもしれません。

どうでしょうか?ここまで天津垓という人間を考察してきましたが、天津垓というキャラクターは、良くも悪くもタロットの『愚者』。つまり人間の可能性であったり、作中でよく語られている悪意であったりと、正位置も逆位置も、表も裏も上手くあらわした、ある意味最も人間らしいキャラクターなんだなと思えてなりません。

こうしてみると、彼の過去にスポットを当て『改心』のキッカケを作り出すには、人工知能搭載犬型ロボ「さうざー」がこれ以上ないハマり役であり、やはり犬型でなければならなかった と感じます。
最後まで私の考察にお付き合い下さり、ありがとうございました。
それでは、今日はこの辺で。
~風の向くまま。気の向くままに~